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自然資源の活用―《土石と木そして竹》を主役にして

時代や社会のニーズに応えられるものなら、土石や木、さらには竹でも、およそ土木材料として活かせるものであれば、大胆に、より積極的な活用にチャレンジしていく。

 自然素材単独では多くを期待できませんが、自然資源を主役にし、足らざるところは工業材料である鉄の力を借りて、両社の融合を図ることで十分実用に供せる商品を生み出すことができます。  その代表格が、再生資源である現地発生土を中詰材に有効活用したダブルウォールです。  
 昭和58年の九州縦貫自動車道土捨場の落差工に最初に採用されて以来、災害復旧関連工事をはじめとして、1,000基を超える砂防堰堤と治山ダムが施工されています。 

 今年は新潟県中越地震が発生してからちょうど20年がたちます。  
 当時の緊急災害復旧工事では、崩壊土砂を流域外に持ち出すことなく有効活用でき、環境負荷の軽減や工期短縮、コスト縮減につながることが評価され、15基のダブルウォールとセルが施工されています。  
 その多くは、経年とともに緑豊かな山中で自然と同化しつつ、今も下流へ土砂流出をさせまいと、身を隠すようにひっそりと役目を果たしています。まさに今の姿は、面目躍如といったところでしょうか。
 このように、ダブルウォールとセルは現地土砂を活用するうえで適応性が高いことから、今まさに国を挙げて取り組むグリーン社会の実現、その形成に大きく寄与できるものと考えます。

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自然資源を活用した新たな擁壁構造物

「環境負荷の低減」  
「頻発化・激甚化する豪雨災害に備える」  
 この課題解決に向けて新たに開発した擁壁構造物を以下にご紹介します。  
 一つは、従来のダブルウォール構造に、タイ材兼水平補強材としてエキスパンドメタルを使用した自立式鋼製補強土擁壁「EX-ダブルウォール」です。各段に全面敷設されたエキスパンドメタルにより中詰土砂を袋状に包み込むことで、中詰土の拘束補強効果の増大と流出防止を図り機能強化したものです。
 壁面材にはエキスパンドメタルだけでなく軽量鋼矢板も用いることができるので、土留擁壁、床固工、落石及び崩壊土砂防護工など用途も広く、土砂活用の促進とコスト縮減に役立つものと考えています。




EXダブルウォール

 もう一つは、竹材を水平補強材に活用した補強土壁「バンブーウォール」です。
 2023年には長野県の治山事業として、既設ダムの袖部保護強化と上流にアクセスする管理道を兼ねたバンブーウォールが施工されました。公共工事の土木資材としての活用と竹を大量に消費することで、地域の課題であった放置竹林の整備という一石二鳥の効果、さらには地域活性化にもつながるという、全国に先駆けた事例となりました。
 持続可能な循環資源である竹を盛土の補強材として活用した「バンブーウォール」。
 地域の課題解決、地産地消推進につながる工法として期待されています。

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