能登半島における災害復旧工事では、崩壊・土石流等によって発生した流出土砂の活用が望まれていますが、そのほとんどが圧縮沈下や強度低下に留意が必要なスレーキング性の土砂(岩材)になります。それらの土砂の材料特性と圧縮強度特性を整理すると、以下に示すように、INSEM-DW等の中詰材として有効利用ができそうです。
―― スレーキング性岩材(脆弱岩)は、地質分類では比較的年代が新しい新第三紀(中新世、鮮新世)の泥岩やシルト岩に多いといわれているが、ここでもそのように言える(右図)。
―― スレーキング性材料区分図(NEXCO設計要領)によると、圧縮沈下が問題となり適用箇所に留意が必要な(3)材に区分される(①図)。
―― 強度低下が問題となる(スレーキング率70%以上)範囲には牛尾川土砂のみ該当する(①図)。

―― ソイルセメントの圧縮強度は、スレーキング前では牛尾川が鈴屋川より大きく、一方スレーキング後(乾湿繰返し回数5回)では逆に鈴屋川の方が大きい(③図)。これは、スレーキング率が70%を越えると、前記したように、強度低下が問題になるということを反映しているものと考えられる。


―― 配合量がある値(スレーキング前では約100kg/m3、スレーキング後では150kg/m3)を越えると、配合量に比例して強度は増加する(③図) 。
―― 材令28日の圧縮強度は材令7日と比べて1.2倍程度になる。固化材のほうがその伸び率は高炉Bセメントよりも大きくなる傾向にある(④図)。 ―― スレーキング前後の強度低下は1/1.5~1/4である(図⑤)。
―― 以上のことに基づくと、配合量を200~250kg/m3にすれば、INSEM-DW堰堤の中詰材の目標強度0.5N/mm2(配合強度0.75N/mm2)は十分に達成できるものと考えられる。
参考文献
1) 第6回能登半島地震における土砂災害対策検討委員会説明資料
2) 市ノ瀬:小布施他,高含水比かつスレーキング性のある骨材を含有する現地発生土砂を対象とした砂防ソイルセメントの配合試験,令和7年砂防学会研究発表会概要集
―― 能登半島において、どのスレーキング性土砂(岩材)によるソイルセメントにしても、固化材等を200~250kg/m3使用すれば、INSEM-DWの中詰に必要な0.5N/mm2の目標強度はほぼ確保できる。
―― 常時流水がない渓流では、土砂をそのままDWの中詰材として使用することもできる(事務連絡 平成27年3月)。

―― 渓床のスレーキング性堆積土砂を整理し、土砂そのままを堤体材料として大量に利用するには、セル構造が適する。
―― 鋼矢板セグメントの若干先行する組立とその内部への土砂盛立を交互に行って形成できるので、簡単で迅速に施工でき、中詰の圧縮沈下にも追随可能である
