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KYOSEIの鋼製透過型砂防堰堤:《黒皮VS塗装》

《木を見て森を見ず》
《百聞は一見に如かず》

サンプル

 KYOSEIの透過型堰堤であるバットレス型のCBBO型/HBBO+型は、その開発コンセプトのひとつとして、仕上げ塗装の無用化を目論み、その仕組みとして、鋼製構造物体の外皮全面が、すべて黒皮でおおわれるように、設計ディテールを工夫することによって、この難題をクリアしておりました。
 しかしながら、そのアピールの必要性を軽視、怠っていたがために、昨今では景観に対する配慮から塗装が必要と画一的に考える風潮が少なからず見受けられるようになってきています。

 鋼製堰堤の構造設計面での板厚は、錆が進行しても構造物の性能が損なわれないように、いわゆる腐食しろがすでに織り込み済になっているので、防錆対策からは塗装は一切無用。 そうであれば、塗装の要否は、構造物の外形形状からもたらされる景観によって左右されるといえるのではないでしょうか。

 鋼管フランジ継手や鋼管同士の溶接接合が多用されている透過型堰堤では、その鋼管骨組構造物外面は、鋼管本来の黒皮のほか、鋼板加工時の切断面や溶接部、それにボルト類など色とりどりに混在する形になるので、色調をムラなく一様に整えるためには塗装工が欠かせない。 一方、CBBO型/HBBO+型の場合は、鋼管フランジ継手や溶接接合は一切使用することなく鋼製構造体の外面がすべて黒皮一色となるように、設計のディテール面で工夫されているので、その限りにおいては無塗装が問題視されることはないといえます。

 自然山中の景観に配慮しているかについては、微視的ではなく巨視的にとらえるべき性質のものであり、構造物がシンプルな外形形状であれば、黒皮一色からやがて鉄本来の茶色への変化は自然に溶け込んだ景観といえるのではないでしょうか。

 また、塗装したとしても、鋼製透過型砂防堰堤が造られるサイトは、殊更に云うまでもなく、文字どおり苛酷な現場。近年の豪雨の頻発化・激甚化、一夜明ければ、折角の塗装も見るも無残な形にはげ落とされてしまう、逆に景観を害するそんな光景が危惧されます。

 塗装の要否は、おのずと収斂していってくれることと願う次第です。

サンプル

 

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■周辺環境に溶け込んだCBBO型透過型砂防堰堤の一例

サンプル菅生谷第3堰堤工事 完成:2010年7月

■「大地の芸術祭」の舞台として知られる新潟県・越後妻有地域。 そこには鉄さびをまとったセルダムがアート作品の一部に。

サンプルトヤ沢川災害関連緊急砂防砂防堰堤(2018年撮影/施工後6年経過)

「極めて人工的な幾何学形態であり、ヒューマンスケールをはるかに超えている。ざらついた茶色のテクスチャーは、緑豊かな山中の自然環境に馴染んでいるようにも思える。そこには得も言われぬ緊張感が宿り、巨大な創作物を前にした時の畏怖の念すら感じられる。」
(LIXIL eye No.23 土木のランドスケープ11 トヤ沢砂防えん堤 八馬 智 より引用)

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