中間技術再生研究所

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CFT構造の災害対策工

第1回 CFTスリット型堰堤の開発

 これまでに角形CFT*構造の災害対策工として、
 ・落石・急傾斜地崩壊土砂対策の逆T型鋼管並列防護擁壁
 ・災害発生後の二次災害を防ぐ逆T型CFT応急対策工
を商品化しております(詳しくは、HPの商品一覧をご覧ください)。

 これらCFT構造の商品シリーズに新たに土石流・流木捕捉工
「CFTスリット型堰堤」が加わりましたのでご紹介します。

 片持ち梁式のスリット型堰堤には、先に開発した「Z-スリット型堰堤」
があります。これと「CFTスリット型堰堤」とで大きく異なる点は、
 ・円形鋼管から角形鋼管に
 ・鋼管中詰を砂充填からコンクリート充填に
変えているところです。
 これによって、柱材の耐力と変形性能が向上するだけでなく、懸案で
あった上下鋼管の鞘管継手の施工が簡単となり、開口部高に制限を
設けずとも適用が可能となりました。

*CFT・・・Concrete Filled Steel Tube (コンクリート充填鋼管)


cft_07.jpg
 
 そもそも、どうして円形鋼管ではなく角形鋼管なのか。
 また、コンクリートを充填するとどんなメリットがあるのかについて
少し説明します。

1.1 なぜ円形よりも角形
 河川内に設置されている橋脚や街中で見る電柱・標識柱など単柱の
多くは円形です。既存の単柱式流木捕捉工も円形鋼管が使われています。
そのため、見慣れている円形鋼管の方が機能は優れていると思いがち
ですが、果たしてそうでしょうか。
 具体的にスリット型堰堤に適用する鋼管を対象に比較してみると、
多くの点で円形よりも角形の方が土石流・流木捕捉工に適している
ことがわかります。

cft_06.jpg


1.2 CFT化のメリット
 CFT構造の特徴は、鋼管とコンクリートの相互拘束効果により、中空鋼管
に比べて曲げ剛性や軸剛性が増加することと、局部座屈が抑えられ靭性(粘り
強さ)が高められることで、塑性化領域での耐力と変形性能が向上することに
あります。これによって、より大きな衝撃エネルギーにも対応でき、結果として
中空鋼管よりも使用鋼管サイズを小さくできるというメリットがあります。

 CFT部材の衝撃性能に関する既往研究によれば、終局限界に至るまでの吸収
エネルギーは中空鋼管の3倍以上あることが確認されています。
下図はこのことを模式的に表したものです。

・コンクリートによる鋼管の座屈防止
・圧縮・曲げに対する耐力向上
・塑性領域での変形性能向上
        
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cft_05.jpg

 また、CFT構造であれば、衝突に対してへこみ変形を生じさせない構造となる
ため断面性能の低下がなく、繰り返しの衝突に対しても耐力低下の心配がなくなり
ます。
 これによって、流木だけでなく、より厳しい土石流流体力や礫衝突にも対応でき
ることになり、様々な用途に適用が可能となります。

 次回は、CFT構造を取り入れたCFTスリット型堰堤の具体構造とその安定性の考え方
について紹介します。