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真実は語る

~隠された継手部の弱点とそれによってもたらされた悲劇~

 2016年12月に放送されたNHKスペシャル「戦艦武蔵の最後~映像解析知らざれる真実~」
が12月18日にBSで再放送され、再び見る機会がありました。

 放送を見ておられない方に少し説明しますと、2015年3月、深海で発見された戦艦武蔵の
映像を最新の技術で解析し、各方面の専門家の分析によって、武蔵が沈んだ原因を解明して
いくものです。

 その中で、武蔵が沈むきっかけとなったのは、装甲板の継手部破壊であることがわかりました。
世界一厚く最強、鉄壁といわれた厚さ400㎜もある装甲板が、航空機の魚雷を真横から受けた
ことで、鋼板の継手に使われたリベットがはずれその隙間から浸水して沈没したのではないか
と分析。武蔵沈没の原因は、攻撃によって装甲板が破られたのではなく、装甲板をつないでいた
リベット、つまり継手にあったことがわかったのです。

 なにより問題なのは、継手が弱点であることに気づきながら、海軍上層部が何の対策も取ろうと
しなかったばかりか、隠蔽していたことです。
 しかも10ヵ月前に同じ構造の「大和」が、たった一発の魚雷で損傷を受けるという事実があった
にもかかわらず。

 このようなことがあるとよく使われるのが「想定外」。
 武蔵の場合、航空機から魚雷を受けるのは想定外であったということでしょうか。
 想定外はおこりえないのではありません。
 確率は低いかもしれないが、起こる可能性のあるものであり、それに対して安全性を高めることが、
技術者のみならず、それを指導する立場の人の責務です。

 弱点とわかっていながら対策もとらず、想定外を持ち出すのは、思考停止状態と言わざるを得ない。
 ましてや安全にかかわることに隠蔽などあってはならない。

 放送を見て、改めて思いを強くしたところです。



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