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<速報>Zースリット鞘管継手の実証試験を実施

<速報>Z-スリット鞘管継手の実証試験を実施
 鞘管形式の継手は、変形に追随でき粘り強い構造であることが実証されました。

 Z‐スリットの鋼管柱の高さが高くなると、資材運搬上の制約から鋼管を
つなぐことが必要になります。その継手方法として、図—1に示すような
鞘管継手構造を採用しております。
 
 この鞘管方式の継手は、少し径の大きな下部鋼管を鞘管として、
それに上部鋼管を径の2倍程度の重なりをもって挿入する構造です。
その上下鋼管の隙間に砂を充填することによって一体化を図るとともに、
除石作業を行うときの引抜き撤去作業をしやすくしています。

 このような鞘管継手が、実際にスムースに組立てができるのか、
また衝撃力を受けても期待通りの粘り強さを発揮できるのか、
実物の約1/2に相当する鋼管を用いて実証試験を実施しましたので報告します。


Z-スリット鞘管実証試験

                図—1 鞘管継手構造の概要


―施工試験から
 図—2に示す施工手順であれば、短時間で施工できることを確認しました。

・油圧ブレーカを使用しての挿入は短い時間(数分)で完了
・振動を与えて押し込むことで、隙間の砂もしっかり詰まっていること確認。
・着脱時を想定した引抜きも問題なくできること確認。

Z-スリット鞘管実証試験

                            図—2 施工手順



下部鋼管砂充填   上部鋼管設置・貫入
        写真-1 下部鋼管砂充填                   写真-2 上部鋼管設置・貫入

貫入完了・砂充填   完了
        写真-3 貫入完了・砂補充                 写真-4 完了(ここまで約1時間)

 今回は高さ3.5mからの打設のため、0.2㎥の油圧ショベルで行ないましたが、
実際は高さ7mを超えるところからの打設となるため、ロングブームアームの
ショベルを使って油圧ブレーカで打設するか、杭打ちを同様にバイブロハンマで
打設することになります。
 

―衝突試験から
 先の施工試験で製作した2体の供試体を水平に設置し、落下高さを
徐々に高くしながら連続して鋼球を継手部に落下させ、継手部の構造安定性と
エネルギー吸収能力について確認しました(図—3)。

z_shiken_07.png

               図—3 衝突試験の載荷位置

 ケース‐1は落下高さH=1.0、2.0、2.5、3.0mの4回(累積衝突エネルギー91.6kJ)、
ケース‐2はH=1.5、3.5、4.0mの3回(累積衝突エネルギー97.0kJ)
連続して衝突させています。2体とも変形とへこみはあるものの、破壊にいたることなく、
構造安定性が保持され、粘り強い継手構造であることが確認できました。
 
 高速ビデオによる分析をもとに、鋼球の跳ねかえりなどによるエネルギーの損失率を
15%とすると、鋼管が吸収した累積エネルギーは、以下のとおりとなります。

ケース‐1:ΣE=91.6×0.85=77.9kJ
ケース‐2:ΣE=97.0×0.85=82.5kJ

この値は、図ー3に示す左右支点の回転角θが、設計において採用している
許容塑性回転角θa(=1.355/(D/t))に達するときの吸収エネルギーEa(=13.0kJ)
の約6倍に相当しており、いかに鞘管継手が高い安定性能を有していることがわかります。

 Ea=Ea₁+Ea₂=Mp₁・θa₁+Mp₂・θa₂
      =8.2+4.8=13.0kJ
  ここに、Ea₁:下部鋼管φ318.5×7.9の許容吸収エネルギー
             Ea₂:上部鋼管φ267.4×6.6の許容吸収エネルギー
             Mp₁:下部鋼管の全塑性モーメント=240kN・m
             Mp₂:上部鋼管の全塑性モーメント=141kN・m
 

下記写真は、ケース-2においてH=4.0mの高さから落下したときの状況です。

H=4.0からの落下   衝突の瞬間写真
        写真-5 H=4.0mからの落下                写真-6 衝突の瞬間

全体の変形状況   衝突点でのへこみ
        写真-7 全体の変形状況                  写真-8 衝突点でのへこみ(53㎜)
        (衝突点梁の変位量119㎜)

 今回実施した試験から、鞘管継手が鋼管骨組構造の鋼製スリットに多用されている
フランジ継手と違い、変形に追随でき、粘り強い継手構造であることが実証されたといえます。