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竹補強材の耐久性について

竹補強材の耐久性について

 

竹材は古くから建造物に使用され、長期間にわたって機能を維持できている
例は多く、厳しい環境下における竹材の耐久性(寿命)についても実証されて
おります。これらの実証事例にもとづくと、酸素が遮断される環境となる土中
での使用、さらに燻煙熱処理をした竹であれば、鋼材やジオテキスタイルなど
工業製品の補強材と遜色のない耐久性を有することがわかります。

代表的な実証事例
―寺社仏閣の屋根板をとめる竹釘
―鉄筋代わりに竹を使用した竹筋コンクリート
―土壁の木舞
―港湾における竹杭

以下、具体的な事例を順に紹介します。

―寺社仏閣の屋根板をとめる竹釘

 写真—1に示す竹釘は、孟宗竹を竹籤状にして裁断し、天日干しと釜で煎ることで
堅く腐りにくくしており、風雨に晒されても60年はもつといわれております(図—1参照)。
代表的な例でいえば、平成25年に60年に一度の大遷宮が行われた出雲大社の本殿の
屋根工事(写真—2参照)にも、金属でなく「竹釘」が使われています。
 鉄だと60年間の風雨によって簡単に錆びてしまいますが、竹釘は60年の葺き替え時期が
きても傷みのないことが確認されています。

 

           

 写真-1檜皮を固定するための竹釘   写真-2檜皮が葺かれた御本殿大屋根
出典:林野庁WEBサイト
(http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/25hakusyo_h/all/a05.html)

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           図-1  竹と建築、LIXIL出版、1999年12月より



―鉄筋代わりに竹を使用した竹筋コンクリート

  竹筋コンクリートが本格的に使用されだしたのは昭和12年頃で、鉄が不足した
戦時中に竹を鉄筋の代わりにコンクリートの補強材として、建物や橋梁に使われて
いました。竹は素のまま使われているもの、コンクリート中のアルカリ分による
侵害防止を目的に耐アルカリ処理をしているものがあります。

  写真—3は、横浜市の阿久和川にかかっていた道路橋旧堂山橋の竹筋コンクリート
床版の標本です。昭和17年に建造され、昭和56年に架け替えのため取り壊される
までの約40年間使用されておりました。

  取り壊した床版に使われていた竹筋の健全度を調査した結果では、新鮮な時に
比べても60%以上の耐力は残っており、外観上は腐食の状況は認められず
健全な状態であったことが確認されています*。
 
          

     写真—3 竹筋コンクリート床版の展示標本 (横浜市八聖殿強度資料館にて展示)


―土壁の木舞

  土中での使用では、写真—4のような土壁の木舞があります。城や寺院あるいは
旧邸宅等の土壁に使用されていた木舞を対象に、経過年数と引張強さについて
調査した結果によると、100年・200年経過しても引張強さが維持できていることが
確認されています。

  表-1に示すように名古屋城の清洲櫓壁に使われた竹木舞は、約300年経過したもの
でも1,200kg/㎡(120N/㎟)の強度を維持できており、壁土内に埋め込んだ竹であれば
相当に寿命を延ばせることがわかります。

  壁下木舞竹の引張強度
 305年経過:120N/㎟
 237年経過:160 N/㎟
 201年経過:140 N/㎟
   89年経過:170 N/㎟


          

                                          写真—4 土壁の木舞


                                          表-1古竹の経過年数と引張強さ*)
 
                  *)竹の研究(2),土木技術 第3巻第5号,昭和17年5月より


―港湾における竹杭

  同じく土中での使用として、港湾施設の杭基礎として海中に打ち込まれた竹杭が
あります。インドネシアでは竹杭基礎を用いることが一般的であり、約30年前に
施工されたジャカルタ漁港の防波堤にも採用されています(図—1参照)。
2012~2014年に施工されたタンジュンプリオク港の防波堤築造では、竹材7本を
束ねた竹杭が約35,000本使用されています(図—2、写真—5参照)。

  同港には、同じく竹杭基礎を使用した既設防波堤があり、今回の工事で撤去され
た際、約50年前に打設された竹杭の健全性が確認されています。写真—6はそのとき
撤去した竹杭で、素材のままの使用ですが腐食等はみられず、懸念されていた耐久性
にまったく問題ないことが報告されています。


            

              図—1 ジャカルタ港の防波堤                      図—2 竹杭・竹マットの製作

          

             写真—5 竹杭の打設状況                                          写真—6 撤去した竹杭

上記図と写真は下記文献から引用しております。
・タンジュンプリオク港における竹杭基礎による防波堤築造について,Marine voice 2015vol.289,日本埋立浚渫協会
・竹杭・竹マット基礎工による防波堤の建設,土木学会誌,1986年3月号