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チサンウォール 3 大規模地震での被害の実態

チサンウォール

3.大規模地震での被害の実態

 

3.1 被害報告から見る実態と破壊形態

 

<参考資料—2>

 

 

2004年の新潟県中越地震から始まり、度重なる大きな地震による洗礼を受け、

ふたたび補強土壁に対する信頼を揺るがすような変状が報告されるようになりました。

特に東北地方太平洋沖地震では、軽微な損傷を含めるとテールアルメだけで

119擁壁(そのうち大きな変形と崩壊が9擁壁)にものぼることが報告されています。

(平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震被災調査報告書<第三報> 

日本テールアルメ協会公開資料から)

 

これらの地震の被害で特筆すべきは、壁面材との連結部でのボルトのせん断破壊や

取付け部を起点とするクモの巣状のクラックそしてパネルの落下です。

壁面材に大きな地震時土圧が作用したこと、盛土の沈下に追随できない

固定式の取付け構造のため連結部に大きな力がかかったことが原因と考えられます。

 

   

 

    

 

それでも盛土の締固めがしっかりでき、排水性が確保できていれば、

通常は設計で用いる盛土の内部摩擦角よりも高い値が期待できるため、

隠れた安全率があってそう壊れることはありませんが、薄い壁面材であるが故に、

肝心な締固めが難しく、締固め不良を起こしやすいとなると、その隠れた安全率も期待できません。

 

 

3.2 既存工法のマニュアルの見直しと課題

 

 

度重なる地震災害を踏まえ、2012年に「道路土工-擁壁工指針(平成24年度版)」が

改訂され、これを受けて既存工法のマニュアルが2014年に一斉に見直されました。

<参考資料—3>

ただし、この見直しでも、変状を生じさせる要因は、主に不適切な盛土材料、締固め不足、

排水不良にあるとして各既存工法を適用するに当たっての留意点・注意点が事細かく

明記されることに留まり、壁面工などの構造的要因への言及はありませんでした。

 

<道路土工-擁壁工指針(平成24年度版)から>

 

根本的に改善すべきことは、

・自立安定性が低い、剛性・一体性が不足している壁面工

・壁面工と補強材の間の不適切な連結

のはずです。