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チサンウォール 1 補強土壁導入時における掛け違い 

チサンウォール

1.補強土壁導入時における掛け違い

 

1.1 風土と建設環境の違い/フランスvs.日本

 

 

補強土壁の嚆矢であるテールアルメは、ヨーロッパの中でも比較的暖かく、

雨や地震の少ないフランスで1963年に開発されました。
一方、フランスと異なり地震大国である日本、年間降雨量はフランスの約2倍、

山地が多く積雪も多い、土質も細粒分の多い土が各地に広く分布しています。

<参考資料—1>

 

 

                                 <出展 国土交通省ホームページ>                (https://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/bousai/saigai/kiroku/suigai/suigai_3-1-1.html)              

 

これほど自然条件が異なる我が国にそのまま導入されることに対して、

当時不安に思われていた研究者・技術者もおられたようですが、

テールアルメは 日本の事情に適合する工夫もなく1967頃に導入されました。

 


1.2 今でも尾を引く壁面工の役割軽視

              

 

導入時における補強土壁の原理の説明は、端的に「土圧軽減工法であって、

壁面材であるスキンの役割は背面のこぼれ出しを防ぐためである」 として、

壁面工は簡易なものでよいとされていました。

1988年に発行の<補強土(テールアルメ)壁工法マニュアル改訂版>では、

次のように記されておりました。

 

 

これによって、壁面工の役割に対する間違った考えが補強土壁に定着したようです。

風土や建設環境の違いに対処することなく、そしてこの基本的に間違った考えが、

補強土壁工法に対する信頼を傷つけ、それが現在まで尾を引いているといえます。