ひとつの価値観に愛は誓うまじ

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人生いろいろ、リダンダンシーのかたちもいろいろ。

巷間ではこのところ、透過型砂防えん堤は、不静定構造でなければ高リダンダンシー(冗長性)を期待できない、といった類いの風説が流れているようです。生憎、わがKYOSEIのCBBOやこのたびのNCBOは、およそ不静定構造とは縁遠く、その機能部材は文字通りの単純バリ。このまま一方的にきめつけられて、あらぬ誤解が定着してしまっては一巻の終わりとなりかねず、この辺で一言申し添えておきたくなりました。


CBBOやNCBOの特徴は、構造部材と機能部材が明確に区分されていること。そして前者の構造部材は合成鋼殻コンクリート製のバットレス、そのバットレスに機能部材としての鋼管ビームがスライド式で着脱OKの仕組みで取付けられております。いわゆる平面構造だからとリダンダンシー不足を問題視されているのは、この後者の機能部材としての鋼管ビーム群。これらの設計では、礫の衝突によって鋼管が局所的に塑性変形するところまで許容しているので、その限りにおいてはリダンダンシーはゼロとみなさざるを得ません。

 

しかしながら、砂防えん堤が設置される場所や場合の状況次第で、想定外の荷重に対しても相応のリダンダンシーを留保しておきたいというのであれば、機能部材全体に対する設計荷重をそのレベルまで引上げてやればよいだけのこと。たとえば、異常時とみなして本来の設計荷重の1.5〜2.0倍にするとか……。


結局のところ、とどのつまりは、エンジニヤリングの世界のはなしである以上、ゆきつくところは経済性の評価がどうなるかというだけのこと。許容される範囲におさまればそれで良し、おさまらなければ失格になるというだけのこと。この点については、さきのケーススタディの結果にもみられたように、機能部材が単純バリ平面構造であっても、全体としての構造系がそれなりに工夫されておれば、高リダンダンシーを留保した上で、なお経済的な設計の可能なことが証明されております。すなわち、高いリダンダンシーは必ずしも高次の不静定構造物の専売特許ではなく、人生到る処にいろいろな形で見え隠れしているようで……。

 
 
転生尋語 (その4) 転生尋語—ひとつの価値観に愛は誓うまじ—
 
 
 
 
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