コンクリートスキン補強土壁/最新覚書ノート

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コンクリートスキン補強土壁/最新覚書ノート

わが国における補強土壁工法の草分けと自他ともに認めるところのテールアルメや多数アンカーは、そのせいもあって、これまではいささか別格扱いされすぎてきたきらいがあったのではないでしょうか。よく知られているように、補強土壁のからくりの源は水平補強材にあって、その内なる補強材の外側は、只の鉄筋コンクリートの壁にしかすぎません。おまけにコンクリートスキンと称されるぐらいですから、これ以上はとてもというぐらいまで薄く仕上げられております。いきおい、そのしわよせが補強材とスキンの連結部ディテールにおよぶことになるのは、いわば必然の成行ですが、それはそれなりに織込済とされている事柄でありました。
 
それはともかく、その辺のディテールがこれまで実用上特に問題視されることはなく、今日に至っておりました。この問題が顕在化し始めたのは、ここ数年このかた各処で頻発気味の大地震による被災事例からでしょうか。コトは補強土壁の根幹にかかわるものでないとはいえ、明らかにコンクリートスキンの薄さに起因する連結部の弱点が引き金となったほころびが、少なからず見られるようであります。これまでの、どちらかといえば聖域化された中での安全神話にかげりが見えはじめてきたのも、争えない事実です。
 
ところで、わが国のコンクリート2次製品業界が、かつての高度成長時代で培ってきた大型積みブロック関連の技術ノーハウは、勿論、単純な平面パネルのそれの比ではなく、この種の用途のものであれば、出来合いのブロックの中から即戦力を選りどり見どりで物色できるぐらいに、豊富に品揃えされております。平面パネルが分厚いブロックに置換えられることによって、補強材取付部のディテールは考えやすくなり、問題をとりまく状況は大幅に改善されます。もっともその一方で、単位壁面積あたりの体積重量は増えることになりますが、別誂えスキンの実勢単価と汎用ブロックのそれとの間には大差があり、結果としての壁面材の実勢価格はむしろ大幅に下がることになって、目下平面パネルが直面している難題をすべて一挙に解消させることができます。
 
この小冊子は、補強土壁工法に用いる壁面材として、特定メーカーブランドの別誂え平面パネルの代りに、既成の地場産大型積みブロックの登用可能性について検討したものであります。コトの成否には理外の理が働くこともあり、予断は許されませんが、目論見どおりにコトが運んだ暁には、微力ながら地産地消推進の一翼を担えるよう、精進努力を重ねる所存でございます。何卒、関係各位にはこれまで同様のご指導とご愛顧を賜りたく、よろしくお願い申しあげます。
 
既成スキンタイプのアキレス腱。
 
(その1)スキンがスリムで自立できないために組立作業がfoolproofになっていない。
テールアルメ工法の設計施工マニュアル(第3 回改訂版)のコンクリートスキンの組立の項(P.156)には次のように記されております。
上記のような方法で、常にスキンの鉛直度を確認しながら施工を継続するが、異常な変位が観測された際は、ただちに作業を中止し、原因の追及を行う。スキンの変位の原因として、主に次のようなものが考えられる。
 
1. 基礎工の仕上がりが不良のとき
 
2. 支柱,くさび、クランプなどの組立治具が適切に使用されていないとき
 
3. 基準点や丁張りが変化したとき
 
4. まき出しや、締固めの建設機械が規定どおり走行しなかったとき
 
5. スキン直近の人力土工部分の締固めが不良なとき
 
6. 局部的に折れ曲がったストリップを用いたり、スキンに対し、たるみのある状態で、次の層のまき出しをしたとき
 
7. 盛土工事に先行して、2 段、3 段とスキンを組立てたとき
 
8. ストリップとコネクティブストリップの接続ボルトが、しっかり締付けられていないとき
 
9. 指定の目地材を用いないで、他の材質のものを使用したとき
 
10. 盛土材料が規定のものより不良であるとき
 
11. 排水設備の不備のため、浸透水が異常に増加したとき
 
12. 基礎地盤が異常な沈下をおこしたとき
 
ことほどさようにスキンが自立できないために、その組立作業がfoolproofになっていないことをうかがい知ることができます。
 
(その2)スキンがスリムなために、上下パネルの連結部強度に多くを期待できず、壁際の大型ローラ転圧はタブー!!
 
前掲マニュアルP.165には、敷均し作業を行う建設機械は、壁面から1m 以上離れて走行すること、とあり、またP.168にはテールアルメにおける締固め機械は、スキン直近より1mの範囲は、軽量で小規模な締固め作業に適している振動コンパクタが適していると記されております。
 
(その3)同上の理由で不時のアクシデントに対するリダンダンシーに乏しく、場合によっては壁面に少なからず変状を来すこともあり……。
 
前掲マニュアル(P.27)には──コンクリートスキンの正面(表側)から見て右側の袖部分には、鉛直方向にジベルが通っており、左側はこれを受ける貫通孔を有し、これによって組立て時における鉛直度と左右の間隔を保つとともに、左右両方向の隣り合うコンクリートスキンと一体性を確保するようになっている──とあり、うすいスキンの上下左右の一体化をはかる構造ディテールとしては、巧妙に考えぬかれた仕組みが採用されております(下図参照)。問題は不時のアクシデントに見舞われたとき、異物のジベルによってうすいスキンが傷められるおそれがあるのではないかということ。
 
灯台下暗し。即戦力の大型積みブロック。
 
だとすれば、うすいスキンを自立可能な厚手のブロックにおきかえてみたら……、当然のことながら誰しも考えることではないでしょうか。しかし、厚くすれば割高になるのは必定だとして,思考がそこで停止してしまった……というのが、実態であった……?
ところがそんな思い込みとはウラハラに、〈灯台下暗し〉というべきか、全国到るところに即戦力となり得る大型積みブロックが、豊富に品揃いされていて……。しかもこの汎用ブロックの実勢価格は、下表に見られるように別誂えスキンのそれとは比較にならないぐらいに安い。かくして、目下スキンタイプの補強土壁が抱えている難題はすべて一挙に解消されることになります。
 
壁面材の組立作業は Foolproofに……!
 img18.jpg
 
壁際まで大型ローラ転圧OK
 img19.jpg
 
  既成スキン
(スーパーテール)
大型積みブロック
(ヘイベック)
自立可否 No OK
組立作業性
大型重機壁際接近 No OK
リダンダンシー
単位質量(㎏/個) 300 797
コンクリ単価(円/㎏) 60 14
製品単価(円/㎡) 18,000 11,000
 

 自前のキーで異物は介在させずリダンダンシーを留保!!

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