INSEM堰堤/今こそ原点回帰

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巷の高偏差値志向の煽りで失われつつある《INSEM 原石の輝き》なれど

 
これまで過去20 年有余にわたって、皆様方のご愛顧をいただいてきたKYOSEIのダブルウォール砂防えん堤では、周知のように現地発生土が文字通り100% 活用されておりました。ところが舞台が入れ替って、INSEMえん堤が主流となってきた昨今では、コトは必ずしも思惑通りに展開しておらず、巷間ではクラッシャーラン等のいわゆる人工骨材を相当程度混入せざるを得ないというのが、今や定番となりつつあります。しかしこれでは、INSEM 創始の原点にてらしてみるまでもなく、遺憾ながら退行感が否めず、渦中にある当事者の一員として、このままではお互い羊頭狗肉のそしりをまぬがれ得なくなるのではないか、というのがこのたびの問題提起の出発点であります。 たしかに下図にみられるように、これまでの施工実績が示す現地発生土の粒度のバラツキは広範囲におよんでおります。これでは所定の強度を得るために必要なINSEM 材の単位セメント量が、粒度いかんによって大きく左右されることは避けられません。したがって、高い目標強度を設定すれば、クラッシャーラン等の人工骨材を相当量混入しなければならなくなるのも、宜なるかなであります。同時にまた、適正混入量を推定するのに、INSEM 材適性判断試験なるものを導入しなければならなくなるのも、いわば必然の成行といえましょう。
 
結局のところ、このような事態を招くに至った問題の根源は、元を糺せば、INSEM 材の目標強度レベルが、現地発生土固有の器量にくらべて、いささか高きにすぎたところにあったのではないか、というのが忌憚ない愚考の到達点であります。 そこで、その延長線上で視野に入ってくるのが、二者択一の問題。すなわち、目標強度を実用上MAXのレベルⅢ(σ= 3.0N/?)まで上げて、人工骨材の混入も視野に入れ、適性判断試験なるものを導入して、INSEM 材の配合設計に真正面から取組むのか、それとも現地発生土の器量相応に、人工骨材etc.は一切使わなくてもすむ程度まで目標強度レベルを下げ、砂防えん堤構造体として品質性能の及ばざるところは、これまでのダブルウォールえん堤に準じて、External Soil Confinementを援用することによって、コトをシンプルに運ぶ道を選ぶのか……という問題がクローズアップされてくるわけでありますが……。
 
おそまきながら自力偏差値競争の愚に覚醒。あれやこれやの他力のおかげでわがINSEM は満願成就!!
 
巷の高偏差値志向の煽りで失われつつある《INSEM 原石の輝き》なれど
 
二者択一に際して、最優先事項として考慮すべき事柄は、当然のことながら、INSEMの原点に立戻って現地発生土を 100% 活用すること。それにくらべれば目標強度レベルの高低などは、他に如何ようにでも対処の仕様が残されており。すなわち、目標強度は利用可能な現地発生土の粒度特性相応に、人工骨材を一切混入しなくてもすむような強度レベルに設定するものとし、えん堤構成材料として品質性能の及ばざるところは、従来のダブルウォールや一般の補強土壁工法にならって、External Soil Confinement 工法を援用することによって、カバーするようにします。 結果として、クラッシャーランetc の人工骨材の混入や INSEM 材適性判断試験等の導入は一切無用となり、現地発生土の標準ふるい分け試験(JIS A 1204)の結果だけで、 INSEM 材の目標強度レベルの設定と、それに見合った単位セメントを選定することができるようになります(右図参照)。
 
 
巷の高偏差値志向の煽りで失われつつある《INSEM 原石の輝き》なれど
 
 
なお、右図にみられるように、ふるい分け試験の結果、 0.075㎜以下の含有量が10% 以上で、シルトや粘性土の細粒分が多い場合には、INSEM 材の配合設計の単純化を図るため、使用セメントを高炉B 種に限定せず、市販のセメント系固化材を登用しております。その分、セメント単価は割高となりますが、一方で単位セメント量の減少を見込めるようになるので、結果としてのトータルコストはむしろ割安になります。
 
 
巷の高偏差値志向の煽りで失われつつある《INSEM 原石の輝き》なれど
 
 
 
上記の設定に用いた《圧縮強度の推定式》 ─(独)土木研究所・財団法人砂防・地すべり技術センターの調査結果から─
0.075㎜以下含有率< 10%、2㎜以下含有率< 55%……………… σ= 0.0653 × C
0.075㎜以下含有率< 10%、2㎜以下含有率≧ 55%……………… σ= 0.0209 × C
0.075㎜以下含有率≧ 10%…………………………………………… σ= 0.0069 × C
σ:圧縮強度(N/mm2)、C:単位セメント量(Kg/m3
 
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